出鱈目

出たサイコロの目を受け入れて生きるー出鱈目

女のいない男たち まえがき 村上春樹

ちょっとした時間潰しで本屋に入る

出入口の真正面の一番良い場所にそれはポジショニングされ、そして他に山積みされている本達と比べても、既に凹んで谷を作っている

それだけ売れていることが一瞬で解る

基本的に村上春樹は持っているし全て読んできた。そして、今回は9年振りの短編集であり、原作に読者からクレームがつき修正しと、そんなに大きくは無いが静かに物事が起きて沈みここまで来たのだという感じはある。

でも僕は今回この本は買わないでおこうと思っている。1Q84も多崎つくるも、結局熱中して読めなかったからだ。そして、その結果から村上春樹は、自分の中で過去の人になってしまい、期待すら抱かなくなったのだ。1Q84で疑い、多崎で確信したということだった。

自分としてはそんな心構えだったし、時間もあるし、時間潰しのために、立ち読むかと思って、まえがきを読んでみた。ちょっとは読めるシロモノになってるかな。いっちよ読んでやるかなと。帯のキャッチを読んで、相変わらずな感じだなぁと上から目線で。そして他の本や雑誌と全く同じようにある意味乱暴に手をとってページを巡り、目次をさらさらと見る。

まずはまえがきからかと。
そしたら、のっけから春樹100%である。まだ何も始まっていないまえがきで、もう完全にワールドである。ディズニーランドのスペースワールドで一気に暗闇に連れてかれて気づいた時には出口に出てると。そんな感じなのである。

そして思ったんですね。これは過去のものではないと。そうなると春樹は落ちてなくて、自分が勝手に求めすぎたのだと。あり得なく勝ちようのない倍率を自分がヤクザのごと吹っかけていたんだと。

そう感じて、本を閉じて、山に返した。でも僕は買わない。この短編は時間が空いた時には本当に丁度いいからだ。いい時に使えるようにカードは温存するのである。