信号赤なのに猛烈に走ってるおっさん
そのスクランブル交差点で青信号が点滅し赤に変わった。
僕は早歩きで渡った。
その時、もう赤になってる段なのに、猛烈に交差点に、走り込んできたおっさんが見えた。
その走り方は、とても不恰好で、足より先に顔がでて、歯をむき出して、顔から突っ込んでくるようだった。
おいおい。おっさん。
色んな意味でそれは無いんじゃねーの。
って呆れて横目で見てた。
そしたら、交差点の中央でビタっととまった。
あれ、どした??
と見てたら、車椅子で立ち往生していたおじいちゃんが見えた。
おっさんは車椅子の取っ手を持ってゆっくりと歩道まで誘導した。
車は飛び出して行かなかったし、みんな彼らを見ていた。彼らだけの時間が流れてて、周りの時間は止まってるようだった。
そのおっさんは、おじいさんにお礼を言われて、ただ頷き、そして去って行った。
おじいさんに気づかず、逆におっさんの醜いところに気づいてしまう、自分って。。って思って、表舞台に現れないヒーローって美しくて、眩しいなぁ。