怒り 吉田修一
吉田修一の新刊読了
良いものを読んだという読後感はとてもある
しかしとてももやもやしていて何も感想が残せなかった
読了後3日経って漸く書いてみる
でも別に書きたい結論があるわけではない。
どちらかというと書くことで整理されこの物語を漸く理解することができる気がする。
最ももやもやしたのは、犯人山神の動機は解らないまま物語が終わったことだった。
この世界を正しく把握するために、人を殺す動機をもつ人間をイメージできる必要があると自分は考えているので、何故、その線を無くしてしまったのかと、もやもやしてもやしていた。
色々と考えた挙句やはり動機を敢えて伏せたことに意味がある気がした。人を殺す動機など誰かに解りやすく理解できるものではないということを示しているのではと。
他人に理解はされず、それは別に深いところにだけあるのではなく、日常的にも転がってるものだと。
むかついたから、むしゃくしゃしたから、殺した。というのは、日常に潜んでいる。
日常的に潜む危うさとでも誰かを信じねば生きている気がしないその難しいバランスの中でみんな生きてる。
山神は怒ってたんじゃなくて、怒ってる人を見て笑ってたんだ。
そう考えるものと、人のことを笑う奴に筆者は制裁を与えたということかもしれない。
全く、まとまってないけど、このへんでこの辺で終わり。
そして、やっぱり吉田修一は面白い!